全固体電池

リチウムイオン電池から全個体電池へ

”国内で排出される二酸化炭素のうち2割近くは自動車を中心とする運輸関係が占めています。脱炭素社会の実現にはガソリン車から電気で走る電動車への移行が欠かせず、日本政府も2035年までに乗用車の新車販売のすべてをハイブリッド車や電気自動車などのいわゆる「電動車」にするとしています。
ただ、今の電動車に使われている「リチウムイオン電池」は走行距離に限界があり、価格も高くなる要因となっています。こうした弱点を克服した全固体電池が実用化できれば、電動車の普及に弾みがつくと見込まれています。
また、低価格化が進むことで家庭用の太陽光発電の蓄電池などとしても普及が進み、再生可能エネルギーの活用も進むと期待されています。”
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20210303.html

”全固体電池のメリット
なぜ、現状のリチウムイオン電池ではダメで、全固体電池の開発に本格的なEV普及への期待が寄せられているのか。一般的に挙げられている全固体電池のメリットを列記しておきます。

●発火のリスクが低い。
可燃性の高い電解液を使わず、固体電解質が燃えにくいものであれば、発火のリスクが小さくなります。

●超急速充電が可能になる。
大きな電力で充電する際、発熱リスクがあまり問題でなくなることから、超高速の急速充電に対応しやすいとされています。

ただし、多くの研究発表では超急速充電が可能になることの理由が明確に説明されていません。雨堤さんのご指摘によると「おそらくは有機電解液に比べて固体電解質の方が、高イオン電導度が高いということから急速充電が可能としているのではないかと思います。ただし、固体電解質>有機電解液 ということではなく、現状の有機電解液の限界より高いイオン電導度を呈する固体電解質が開発された」場合のことであり、優れた特性をもつ固体電解質の開発が不可欠です。

●エネルギー密度が高い。
さまざまな研究発表などの状況から、既存のリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高い、つまり、小さな電池に大きな電力を蓄えることができると期待されています。

ただし、多くの研究発表で「エネルギー密度算出のベースとなった、具体的なセルの容量や特性、サイズ、質量が開示された例は見られない」ことを雨堤さんは指摘しています。

【関連情報】
●固体電池: 室温でのリチウムイオン伝導率の記録を更新(東北大学材料科学高等研究所/2020年9月28日)

●幅広い温度域で安定して性能を発揮できる。
温度によって性質などが影響されにくく、充放電時の内部抵抗を低減できる固体電解質が開発できれば、氷点下の低温や水沸点(100℃)に近い高温でも性能の低下が起こりにくいとされています。

●劣化しにくく長寿命。
現状のリチウムイオン電池では、電解質の劣化(分解)や電極活物質の劣化などの「副反応」によって劣化しやすい特性がありますが、固体電解質では副反応が起こりにくく、より長寿命の電池が実現できることが期待されています。”
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/all-solid-state-batteries/

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